目標設定が向いている選手の性格は?「職人」と「経営者」

コラム・【選手のやる気を引き出すための効果的な目標設定の仕方!!】で目標設定を紹介しました。この目標設定は、競技者自身が方向性を見失わないようにする効果や、日々の練習に対するやる気を持続するためにとても効果的であり、メンタルトレーニングの中でも必ずと言っていいほど導入されるものです。

しかしながら、実際に目標設定を指導していると、大人の選手でも、人によっては向き不向きがあるように感じます。そこで今回は、目標設定についての私の考えを少し紹介します。あくまで意見の一つとして参考程度にご覧ください。

経営者タイプと職人タイプ

目標設定によって、自分のやるべきことや未来の自分を明確にイメージすることは確かに動機づけやその先の行動につながります。しかしながら、緻密に設定された目標がなくても日々努力しつづけている人もいます。

例えば、NASAから部品を発注される日本の町工場があります。こういった企業へのインタビューを見てみると、強調されるのは「明確な売り上げの目標」というよりも「より強いボルトを作ろう!!」や「より薄くて丈夫な鉄板を作ろう!!」など職人のような強い価値観です。

具体的な結果目標を掲げ、そこから逆算して日々やるべきことをイメージし、結果を出すために努力する「経営者」のようなタイプもいれば、たった一つの価値観を頑固に押し通し、それが結果に結びついていくという「職人」のようなタイプもいるということです。どちらが良いということは言えませんが、どちらに向いているかということは認識しておいた方が良いと思います。

未発達な年代の子では見極めることが難しいとは思いますが、目標設定がうまくいかないからと言ってやる気を出させることができないとは限りません。また、この2つのタイプは必ずしも二極化されるものではありません、中には中間に位置するような選手もいると思います。要は向き不向き、しっかりと選手と向き合って見極めることが大事になるのではないでしょうか?

<参考文献>

  • 平本あきお:「自分軸」を引き出すコーチング 児童心理、第63巻第1号、pp52-59、金子書房、2009
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