追記【ピークパフォーマンス】いわゆるゾーン。スポーツ選手のスーパーサイヤ人状態!

こんにちは。河津です。

突然ですが皆さん何かスポーツやゲームなどでもいいですが、「ゾーン」に入ったな!と思った経験はありますか?最近では結構ポピュラーになってきたこの言葉、簡単に言うと自分の実力が100%発揮できている状態でスポーツ心理学の分野では「ピークパフォーマンス」とも呼ばれています。中にはいつも以上の実力が出ている!なんて感じる方もいるのではないでしょうか?(理論的にはいつも以上の実力ではなくそれがそもそもあなたの100%の力なんですよ、と考えます。)

しかしながら、「ゾーン」と言われても自分のことになるとよくわからない!とか、入ったことあるけど完全に運任せ、という人はとても多いようです。

そこで、今回は「ゾーン」状態に入った時の自分のことをよく知るための「ピークパフォーマンス分析」についてお話ししたいと思います。ゾーンに入った時のことを良く知れば、自分の心理状態をそこに近づけるような行動をとることもできるようになっていきます。つまりゾーンに入る確率を上げることになるのです!

ピークパフォーマンス分析

これまでの試合の中で一番調子のよかったときを思い出して、それを分析することをピークパフォーマンス分析といいます。具体的に一試合(もしくは二つ三つでも構いません)思い浮かべたら、その時を詳細に振り返っていきます。もし一試合通して調子のいい時が思い浮かばなかったら、最高のプレーができた瞬間でよいので思い出してみましょう。

思い浮かんだら以下のポイントについて振り返り、ノートに書いていきましょう。書き方に決まりがあるわけではないのでとにかく書いていくことが大事です。

ポイント1「その試合は自分にとってどのような試合だったのか。」

何かがかかったとても重要な試合でない時の方が調子がよいという傾向があります。つまりプレッシャーがあまりない状態の方が良いということですね。なので、その試合の時プレッシャーがあったかどうか?それはなぜか?やその試合での自分の目標がなんであったかなどを振り返ることは重要です。

ポイント2「試合前、試合中の自分の心、頭、体の状態」

「心」は言い換えるならその時の感情です、楽しかったのか、うれしかったのか、はたまた怒っていたのか、思い出してみましょう。

「頭」はその時何を考えていたのかということ、心とは少し違います。例えば、対戦相手の弱点を分析していたとか、逆に何も頭の中には浮かんでこない状態だったとか、そういったことになります。「体」はその時の自分の体がどうだったかです。

何となく軽い、重いだけでなく、肩が柔らかかったとか、体は軽いんだけど足だけは重い感じで地に足がついていたなど、体の部位にも注目して振り返りましょう。脈を数えてみて1分間の心拍数を測ってみるなどしてもよいでしょう。

ポイント3「その時の周りの状況や自分が行っていた行動、前日の出来事など」

これらは、自分以外のことについても含まれます。普段厳しいコーチが試合だと厳しいことを言わなくなるのでのびのびできたとか、チームメイトの一言で安心できたとか、いつも応援に来てくれる家族がたまたまこられなくて逆にプレッシャーを感じなかったとか、いつもと違ったウォーミングアップを試してみたとか、前日のテストでいい点を取ってテンションが上がっていたとか、パフォーマンスに影響した可能性がありそうなものは思いつく限り書いてみましょう。

これに関してはネガティブなことでも実はプラスに働くこともあり得ます。実際に僕はパフォーマンス前に十分な準備ができなかった時、追い詰められて逆に集中できたという経験がありますし、実際の陸上選手の事例では、病気になりながらも自己ベストを出したという事例もあります。

ちなみにこの時の選手の心理状態は「自分のパフォーマンスをいかに発揮するか」ということ以外は全く考えられない状態だったそうです。つまり自分のプレー以外に一切雑念がない状態だったともいえます。このように、何が自分のパフォーマンスにプラスに働くかは意外とわかりませんので、しっかり振り返って書きましょう。

これらの分析は調子がわるかったときを思い出してすることもあります。そうすることで、試合前の心理的コンディショニングに役立てることもできます。ただしシーズン中や大事な試合前には控えておいた方が良いでしょう。

最終的にはコントロールできる行動などにフォーカスする

ピークパフォーマンス分析をおこない、ある程度整理すると、感情や思考、起こった出来事や自分の行動など多くの事柄が出てくると思います。

最後にそれらをコントロールできるものとできないものに分けましょう。そして自分自身がコントロールできることを意識して行えるようにしましょう。はじめはできるだけコントロールしやすい行動に絞ったほうが行い実施しやすいです。

これをしないと、自分は何をすればよいのだろう?と行動の指針を失ってしまいます。例えば、自分が試合で良いパフォーマンスができていた時は「楽しい」という感情が強く感じられていた。ということが分かったとしましょう。しかしそこで分析を終わってしまうと、「楽しい」感情になるためには一体何をすればよいのだろう?ということになってしまうんですね。

実際の事例で、「楽しさ」が自分のパフォーマンスに影響していると分析したある選手が、さらにその楽しさがどこから来るか?を追求した結果、控室での会話から来るものだと見出し、その楽しさが競技への集中につながっていると気づきました。

それ以来その選手は控室での試合前の過ごし方に配慮し安定させた結果、試合でのパフォーマンスも安定していったという報告がありました。

このように、自分でコントロールすることができない、もしくはできる度合いが少ないことよりも、自分が行動するだけでよいものなどを最終的に見つけていきましょう。

ということで、今回はピークパフォーマンス分析についてお話しました。こうして振り返ることで、自分をどのようにコントロールすればよいのかが分かりますし、イメージトレーニングをしようとした時の思い浮かべるイメージの材料にもなります。つまりこれから行うメンタルトレーニングにとても役立ちますので、ぜひやってみてください。また、現時点で全く思い浮かべられない、試合時の記憶がない、という方は、これからの試合で意識をしていくことからやってみてください。

ゾーンに入るには運も必要なので、これをすれば必ずゾーンに入れるというものではありませんが、こちらの動画⇩で解説しているゾーン一歩手前の状態は狙えると思います。

こちらの動画ではゾーン状態の特徴などについて詳しく解説しています。ゾーン状態を狙うよりも現実的なゾーンの一歩手前の状態についても事例を紹介しながら解説していますので是非ご覧ください。

<参考文献>

  • スポーツメンタルトレーニング教本
    大修館書店、2002年、日本スポーツ心理学会 編
最新情報をチェックしよう!