こんにちは、スポーツメンタルトレーニング指導士の河津です。
今回は今の自分がいる環境がしっくり来ていないな~と感じる人たちに見ておいてほしい内容になります。また、生活環境がガラッと変わる予定で少し不安がある人などにも当てはまると思います。
今いる環境がしっくり来ていない人の特徴
私は普段、大学や専門学校で授業をしているのですが、1年生を受け持つことが多く、新しい環境、生活に問題を抱える学生を数多く見てきました。
その中でも最も多いパターンは「自分の入ったところ、なんか思ってたのと違った・・」というパターンです。
こういった悩みは特に高校卒業後の大学、専門学校、社会人1年目に特にみられることですが、小中高の学生の場合でも、部活動選びなどであることかもしれませんね。
この悩みを持つ人の特徴として、授業に対するやる気の欠如、将来への漠然とした不安、学校側や先生に対するイライラなどが良くみられます。これらの特徴が大きくなりすぎると問題行動に発展してしまうなんてこともあるでしょう。
そういう人に共通することは、いわゆる「自分で決めてない」パターン。
「自分の学力で入れるところにとにかく入った」
「親にここにしなさいっていわれたから」
などなど、自分で考えて決めた様子が全くないということです。部活動やクラブチームを決める時でもこういった事はありそうですよね。
もちろん自分でちゃんと考えて決めた人でも「なんか違った・・・」と思うことはあるでしょう。しかしながらこのような人たちは、
何が違ったのか?
もっと自分に合ったところはどこなのか?
を見つけるためにすぐに次の行動に移るので、何の問題もありません。前者と後者は根本的に違うのです。
では、いったい何が違うのでしょうか?
自分のやりたいこと、なりたい自分をイメージできるのか?
- 自分がその競技、分野、学校、会社、職種、業種を選んだのはなぜなのか?
- 自分はどんなことが好きで、どんなことに向いているのか?
- そこにいることにどんな価値があるのか?
- なりたい自分とはなんなのか?
これらをイメージできますか?
前述したような問題を抱える新入生のほとんどはそのイメージが全くありません。
自分はどんなことが好きで、どんな欲求があって、何をしたいのか、こちらが質問してもすぐには答えられません。
自分の欲求やなりたい自分が明確であることは今現在の自分のやる気につながってきます。何度か当サイトのコラムでも説明したかもしれませんが、人間が行動を起こす時というのは、その行動に価値を感じている時です。
人の持つ価値や欲求というものは、立派なことに限ったことではありません。
スポーツでいうなら、小さい頃に友達と遊びでやっていたサッカーでゴールを決めた、あの時の興奮や楽しさが忘れられない・・・そんな小さくて単純なものでも十分です。
何をやっている時が楽しいのか?そんな簡単な質問から、なりたい自分が出てくることもあるのです。
自分のやりたいことを見つけよう!!
今までお話してきたようなことは心理学の分野では「アイデンティティ」といったりします。わかりやすく言うなら「ありの~ままの~♪」自分です。
今回は「ありのままの自分」を見つけるために、ひとつのテストを紹介します。
20答法
このテストは文章完成法と呼ばれるテストの一種です。
「私は、〜〜〜〜〜〜〜。」
という未完成な文章が20行あり、「私は、」に続く文章を自由に思いつくまま書いていくというもの。内容に制限はありません。本当に自由に書くことが大事です。
つまり、テストをしている人は「私は誰だろうか?(Who am I?)」という問いを20回繰り返すことになります。
他人の目や世間体を気にすることなく、ありのままを出すために、閉じられた空間で、その情報は誰に見せるでもない自分だけのもの、としておこなうとより良いと思います。
中には途中でまったく書けなくなってしまった人もいるでしょうが、ある研究では大学生以上になれば19~20個はかけるという結果が出ています。
書き終わったら内容を分析していくのですが、分析する視点は・・・
- いくつ書けたか?
- 外見的表面的特徴(見た目、年齢、属性(社会人、学生)など)に関する記述はいくつか?
- 心理的特徴(性格、人間関係、自己評価など)に関する記述はいくつか?
- 文章はポジティブか?ネガティブか?
などがあります。どの視点をどう見るかということは、本来なら専門家の元でおこなうと良いのですが、自分一人だけでも自分の価値観や、自己評価を振り返るきっかけにはなります。
自分でもワーク形式でできるような書籍を参考文献として載せておきますので、気になった方はそちらでやってみると良いでしょう。
「自分って自分のことこう思ってたんだー」とか、「そうそう、それがしたいんだよな~」など、自分自身のこと、自分のしたいことなどの再発見につながります。
いまいち自分のしたいことがわからない、というかそもそも自分が良くわからない、という方はぜひやってみてください。
自分のやりたいことがわかったら・・・
上記に紹介した「20答法」に頼らなくても、普段から自分について意識したり、反省したりしていれば徐々に自分は何がしたいのかがわかってくると思います。
そうすれば後はそれが実現できる環境を選べばよいだけですね。
たまに、それでも思っていたのと違って、理想の自分と今の自分のギャップに苦しむこともあるかと思います。
しかし、そんな場合でも、自分のことを良く知っていれば、
- 何が苦しみの原因になっているのか?
- 何が理想と違うのか?
- どの程度違うのか?
- 違っているという中でもここは問題ないな!と思えるところはどこなのか?
というように、現状を受け入れて分析ができるようになっているはずです。
参考になりましたでしょうか?
すべての人がここに書いてある通りになることはもちろんありえません、あくまでひとつの方法として参考にしてください。
<参考文献>
- これからを生きる心理学 「出会い」と「かかわり」のワークブック.ナカニシヤ出版、2009年、川瀬正裕・松本真理子・丹治光浩 著