スポーツ選手に必要な「心の強さ」は「心理的競技能力」!!

こちらの記事で紹介した「心理的競技能力」。これはスポーツの現場で「精神力」だとか、「心技体の心」として経験的に認識されてきたものを明確にしたものだと説明しました。今回はこの「心理的競技能力」についてもう少し踏み込んで解説していきます。

スポーツ選手の心技体→「心」を鍛えるメンタルトレーニング法を伝授

心理的競技能力を評価するための心理検査

以前は「心理的競技能力」の5つのカテゴリーとして「競技意欲(競技に対するやる気)」、「精神の安定・集中(試合中に焦ることなく、自分のプレーに集中する能力)」、「自信(自分ができると信じる力)」、「作戦能力(試合中の予測力や判断力)」「協調性」があることを説明しました。

実はこの分け方は、メンタルトレーニングの現場でよく用いられるDIPCA3という心理検査の中で用いられているもので、正確には因子と呼ばれています(ここではわかりやすくカテゴリーという言葉を用います)。

DIPCA3で心理的競技能力をモニタリングすることでメンタルの成長や自分に足りない能力を探ることができます。

各カテゴリーの説明

それでは、DIPCA3で用いられている各カテゴリーを説明していきましょう。

「競技意欲(競技に対するやる気)」

わかりやすく一言で言うと「やる気」です。ただ、このやる気というのにもいろいろあって、DIPCA3の中ではさらに4つに細分化されています。その4つとは、練習や試合でのくるしい場面でどれだけ耐えられるかを表す「忍耐力」、試合に対する闘志を表す「闘争心」、対戦相手に勝ちたい気持ちを表す「勝利意欲」、自分自身の成長の欲求を表す「自己実現意欲」です。

これらは、試合や練習に対する選手の取り組みにとても大きく影響します。どんなに良い技術練習、体力トレーニング、メンタルトレーニングを実施しようとしても、本人にそもそもやる気がなければ意味がありません。なので、メンタルトレーニングにおいては常に気に留めておくべきものです。

「精神の安定・集中」

試合中に緊張しすぎていたり、逆に緊張感がなさすぎたりしたときに、自分の緊張感を適切な状態までコントロールする力や、競技中、自分が集中するべきものに適切に集中する力です。まさに試合でプレーしているその瞬間に必要となります。

DIPCA3の中では、さらに自分の気持ちをコントロールする「自己コントロール能力」、不安や緊張を抑える「リラックス能力」、集中すべきものに適切に注意を向け、その状態を持続する「集中力」の3つに分けられます。

普段の練習で培った実力を出し切るために必要な能力です。ほとんどの選手でメインとなってくる問題点でもあります。

「自信」

これに関しては説明はいらないかもしれません。文字通り自信です。DIPCA3の中では、さらに自分の能力に対する「自信」と、失敗を恐れない「決断力」の2つに分けられます。
とても大事な要素になりますが、その反面とても鍛えるのが難しい要素でもあります。

「作戦能力」

競技に関する作戦を的確に構築、実施できる力です。DIPCA3では、試合中に先を読む「予測力」、様々な場面での的確な「判断力」の2つに分けられます。

これらは、基本的には専門競技に熟達していけばおのずと伸びていく能力と考えられます。しかしながら、集団競技の場合では、所属するチームの作戦やプレイスタイルなどにも影響を受けるので、チーム単位でトレーニングしなければならない場合もあります。

「協調性」

所属チームや、チームメンバーに貢献する気持ちを表すものです。これは細分化されていません。
協調性は、チームスポーツだけに必要なことではありません。個人競技においても、クラブチームや、部活など、何かしらの競技団体に所属することがほとんどなので、その団体での活動を円滑に効果的にするためには重要な要素になってきます。

 

<参考文献>

  • スポーツメンタルトレーニング教本 大修館書店、2002年、日本スポーツ心理学会 編
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