【自己決定理論】を理解して、うまいのに練習に来ない選手をやる気にさせよう!!

こんにちは、河津です。今回はまたピンポイントな話になるかと思うのですが、「部活動あるある」的なトピックをお届けします。小中高大、どの年代でもあてはまると思うのですが、部活動に所属していた人なら共感できると思います。

ズバリ「練習しないけどうまいやつ」をどうしたらよいのだろう?というお話です。「チームの中心として活躍できるくらいの技術を持っていながら、練習へのコミットがやたら低いメンバー」というと皆さんも誰かしらの顔が思い浮かぶのではないでしょうか?今回はそんなメンバーに対してどのように対応すると良いのだろうか?ということをスポーツの動機づけ(やる気)の有名な理論「自己決定理論」にのっとって紹介していきます。

動機づけ(やる気)に関する有名な自己決定理論について

今回の話はいわゆる「やる気」の問題になってくると思うのですが、「やる気」というキーワードはスポーツ心理学の分野では主に「動機づけ」という風に呼ばれています。

動機づけの理論で特に有名なものとして自己決定理論というものがあります。今回はこの理論に基づいて「練習しないうまいやつ」に対する対処法を考えていきましょう。

まず、どんな理論か以下で簡単に説明したいと思います。(ここでは動機づけをやる気と言い換えて説明します。)

人のやる気というものは、他の目的のために半ば強制的にさせられている「外発的やる気」というものと、自分自身それがしたくてたまらないからやっているという「内発的やる気」に分けられています。

やる気の強さという点で言えば、内発的のほうが外発的よりも高いとされています。これはイメージしやすいですよね?

つまり、母親に勉強しなかったら晩御飯抜きだからといってしぶしぶ勉強をしている子と、勉強が楽しくて楽しくて仕方ない子だったらどっちが長い時間勉強してられるか?どっちがより勉強の成果が出るか?といえばほとんどが後者の場合と考えるはずです。これまで行われてきたやる気の研究の結果からも、これはどうやら間違いないようです。

ただ、外発的やる気と内発的やる気を、0が1か!というふうにクリアにどっちか!と分けることはできないという考えがあって、その考えを理論で表現したのが、自己決定理論なんですね。

自己決定理論では、外発的なやる気をいくつかの段階に分けこんな感じで表現しています。


つまり、「外発的やる気」とは言っても、その中でも少しずつやる気の強さが違ってきていてその強さで4段階に分けることができるというのです。そのやる気の強さが何によってきめられているかというと、「自分でやるかどうかを決めている度合い」ということになります。

図の中の言葉をそのまま見れば感覚としてわかると思うのですが、一番左が完全にやらされている状態、つまり監督やコーチにやれといわれているから練習をやっているだけという感じですね、金銭的な報酬をもらえるのでそのためだけにやっているという状態もここに入ります(この状況は大人の方がよく見られます)。やるかどうかを自分では全く決めていないない状態です。

次がやらないといけないなと思っている状態、練習が必要だなとは多少は思ってはいるけど、まだ、「やらないといけない」と義務的に思っている、自分でやるかどうかは決めているけど少しネガティブな状態です。

その次が、さらに練習の重要性を感じていて、練習を「やることは必要だ」と前向きにとらえている、自分で進んでやることを決めているポジティブな状態です。

最後が、練習を自ら望んでやっている、自分のなかでそれをすることが優先事項にまでなっているという状態です。

外発的やる気の各段階は、それぞれ強さは違いますが、練習が別の目的のための手段となっているというところで共通しているのが特徴です。つまり「勝つために」練習する、「うまくなるために」練習する、「叱られるのを回避するために」練習する、という「~のために」がはいっているということです。

これが、内発的やる気になると練習をやること自体が目的になります。わかりやすく言うと、例えばサッカー選手であれば、サッカーをしたすぎて、練習を「練習」としてではなく、ただただ「サッカーをする時間」という風にとらえているような感じでしょうか。このような選手は練習時間すらも「楽しくてしょうがない!」と感じることでしょう。

うまいけど練習に来ない選手を練習に来させる方法

自己決定理論の説明が長くなってしまいましたが、ここで、この理論に基づいて練習しないけどうまいやつを分析し、どのように対処すればよいか段階的に考えていきましょう。

具体例を挙げながら考えていきましょう。イメージしながら読んでください。

【あなたのチームにうまいんだけどあんまり練習に来ない、来てもあまりやる気の見られないAという選手がいました。】

まずはその選手と話をしよう

【はじめに、あなたはA君と話をしました。話をしていく中で、A君が「俺このチームの中で一番うまいと思う、なんかつまんないんだよね」ということを話してくれました。】

ここでは、まず相手の本音を引き出せるかどうかがポイントです。ほとんどここで勝負が決まるといっても過言ではありません。つまり、あなたがすべき最初のことはその選手と密にコミュニケーションが取れるようになっておくことなのです。これはとても大事で難しいことなことですが今回のメインのテーマではないので取れていると仮定して次に進みましょう。

その選手が自己決定理論のどの段階にいるか考えてみよう

【A君は「俺このチームの中で一番うまいと思う、なんかつまんないんだよね」と言っています。A君のこの言葉が本音であればA君は一体何のためにチームに所属しているのでしょうか?】

ここで、A君の発言からわかることは、A君はおそらく競技をやること自体が目的の内発的やる気の状態にはない!ということです。発言をもう少し深く考えると、A君は「チームの中で1番になるために」練習しているという、外発的やる気の3番目くらいの状態で、すでに、「今チームでは一番になれている」と満足している状態なのかもしれません。A君とコミュニケーションを密に取りながらこのようなA君の思いを明確にすることが必要です。

具体的な対処法を考える

【「チームで一番になる」という目的のために練習をしていたA君がその目標を達成してしまった。あなたは、そのような状況でもう一度A君にやる気をだしてもらうための作戦を考えました。】

今のA君のやる気の状況が分かれば、あとはそれにあった方法を考えるだけです。こういった例の場合、A君に新たな目標を見つけてもらうことが方法の一つとして考えられます。チームの中でA君のライバルになりそうな選手を挙げてみるとかが具体的な方法としては考えられますね。ポイントはあくまでA君が新たな目標を見つけることができるか?です。ライバルを提示する以外にもそのチーム内の状況などによりやれることは変わってきます。具体的にどうするかは、皆さんのチームの状況を考えながら、監督・コーチとも相談して決めていけると良いですね。

その後どのように導くか

【少しずつA君が練習に来るようになりました。あなたはA君のやる気をもっと引き出したいと考えます。】

この後のA君のやる気を内発的やる気の方に引き上げていくことが、彼のやる気をより強化することにつながります。そのためには、「誰かに勝ちたい」という考えから「競技自体が」

最後に
これらは内容を理解してもらうための一例にすぎません。選手やチームによってはこの流れに当てはまらないことも多々あると思います。もしよくわからないこと、相談したいことなどあれば、気軽にご相談下さい。

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