【セルフエフィカシー】火ノ丸相撲を心理学的に分析~スポーツ選手の自信のつけ方~

こんにちは。メンタルトレーニング指導士の河津です。今回はマンガからスポーツ選手としての自信のつけ方を紹介します。

確固たる自信を身に着けるにはどうしたらよいか?

今回のテーマはズバリ自信です。実は別コラムで自信のお話をしたのですが↓

選手に自信をつけるにはどうしたらよいか?

 

上記の記事は補助的に使える手段ばかりを紹介したものでした。

それとは違い、今回はまさに自信をつけるための王道的なお話を少年ジャンプで連載中していた相撲マンガ「火ノ丸相撲」のあるエピソードを用いて紹介したいと思います。

今回取り上げるエピソードは、主人公「鬼丸」のライバルである大関「童子切」が高校三年生の時のお話です。

鬼丸も出場することになる高校相撲のIH、その1ヵ月前に全国六連覇中の鳥取白楼高校にTVのインタビューが入りました。そこで当時IH個人戦二連覇中の天王寺獅童(童子切)君が主将としてインタビューを受けていました。

「三連覇はそんなにかんたんやありません・・・」「みんながライバルですよ」と、淡々とインタビューに答える天王寺君、しかし最後の質問に対してとても重みのある、そしてその確固たる自信がにじみ出るような回答をするのです。

  火ノ丸相撲 第90話 引用

とてもしびれる良いシーンですね!!

そして今回の話のポイントは「俺が一番相撲の稽古をしてる・・・だから俺が一番強い」の一言。まさに稽古は嘘をつかない、自分を裏切らないといわんばかりの自信に満ちた一言です。確固たる練習量に裏打ちされた自信であることがうかがえます。

今回のテーマにぴったりのまさに王道、近道ではなくまっすぐ地道に積み上げる自信です。結局この天王寺君のような自信が一番強いものになります。

やるべきことを明確にすると「自己効力感」が高まる!

天王寺君はどうしてあそこまでの確固たる自信を身に着けることができたのか?最近は一般の方たちでも聞く機会が増えてきた「自己効力感」という概念を用いて解説していきます。

この言葉は一般的に使われている自信とは少しニュアンスが違います。簡単に違いを挙げるなら自信はその対象が曖昧で、自己効力感はとても明確であるということ。

例えば、あなたが「体力に自信がありますか?」と聞かれたとき。答える前にどんなイメージが出てきますか?長距離を走っているようなイメージで考える人もいれば、重いものを持てるかどうかで考える人もいると思います。もしくはその両方がないと体力がないと考える人もいるかもしれません。では、「あなたは腕立て伏せ100回出来る自信ありますか?」と聞かれたらどうでしょう?自分だったら腕立て伏せ何回出来るかな?と考えるはずです。

もうお分かりですね?この2つの質問は前者が自信、後者が自己効力感について聞いているということです。つまり自己効力感は「何ができるか?」の「何が」の部分が特定の事柄であるということなのです。しかも、「腕立て伏せ100回出来るか」と聞かれて、「自分なら50回かな?」と考えるならつまりその自己効力感は「100%中の50%程度だな。」という正確な見積もりもできます

対象が明確な自己効力感をつけるためにはやるべきことは常にシンプルです。この場合は「腕立て伏せを100回出来るようになるために、これから週2回腕立ての特訓(回数などは専門家に聴けばわかるでしょう)」をすればいい。ということです。

では、対象が曖昧な自信はどうやったら身に着くのかですが、これもやり方はシンプル、自己効力感をたくさん集めればいいのです。体力の例を挙げるなら、「腕立て100回出来る」「ベンチプレス70㎏はもてる」「1500m走は4分台で走れる」などなど体力があるなといえる根拠となる自己効力感をいっぱい集めればいいのです。ただ口で言うほど行動に移すのは簡単ではないことは注意してくださいね。

天王寺君の自信のつけ方

マンガの中でインタビューのシーンがあった何話か後に、天王寺君の確固たる自信に至る道のりが説明されていました。

 

天王寺君はIHで対戦するであろう可能性のある全選手の動画を見て研究していました。インタビューで言っていた「みんながライバルです」という言葉は本当に全員と戦うイメージトレーニングをしていたのです。

つまり本当にライバルたち全員を研究し、実際に戦ってきたのです。そして勝利してきました。この勝つということは「成功体験」といって自己効力感を高めるために一番の方法なのですがそれも手伝って、天王寺君はあれだけ確固たる自信を手に入れたんですね。

つまり、「○○選手に勝つために○○をする」という明確な行動のイメージトレーニングをし、それを実践し(もちろん実際の稽古も人一倍するでしょう)、そして勝ってきた。それを今まで対戦してきた全選手で行ったということです。つまり「○○選手に○○して勝つ」、「△△選手には△△をして勝つ」を無数に積み上げてきただけの事。

そして「俺が一番強い!」ということになるんですね。この言葉はただ何となく稽古をして勝ったから出たのではなく、やるべきことを明確にし、それを実行して勝ち取った「自己効力感」を一つ一つ積み上げた結果であるということがよくわかります。

普段からやるべきことを明確にして「自己効力感」を積み重ねよう

天王寺君は実際に勝利するという「成功体験」を積み重ねることもできていたのですが、勝利以外でも「○○ができた」「△△ができた」と何かができるようになることも「成功体験」です。

大事なことは練習で身に着けることをノートに書くなどして明確にできるかどうか。そしてそれを自主的にできるかどうかです。なんとなく練習するよりはそのほうが何倍も自己効力感が身に着き、自信につながっていきます。普段の練習からぜひ取り入れてみてください!

<参考文献>

  • 日本スポーツ心理学会 編 スポーツメンタルトレーニング教本 大修館書店
  • 川田 作 「火ノ丸相撲」第90~96話 集英社
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