こんにちは。河津です。
チームというものを考えたとき、大事な要素として、リーダー(≒リーダーシップ)が挙げられると思います。
新チームのリーダーとして指名された方たちは、どのようにチーム内でふるまっていけばいいのだろう?厳しくした方が良いのだろうか?優しくした方が良いのだろうか?と大いに悩んでいることだと思います。
どのようなチームでもリーダーに選ばれる人の特徴としては第一に「専門分野に対する高い知識や能力を持っている」ということが考えられるのではないでしょうか?
にもかかわらず、「そんなに専門分野の能力や知識があるわけでもないんだけどな~」という人がリーダーに選ばれることも往々にしてありますよね。スポーツ場面に特化していうのなら「野球そんなにうまくないのにキャプテンに抜擢されちゃった・・・」などいわゆる「補欠キャプテン」なんて言われるキャプテンも出てくるでしょう。今回はそんな補欠キャプテンになった方に特に読んでいただきたいものでもあります。
新しいリーダーのあり方を提案する「サーバントリーダーシップ」
リーダーシップの理論は、たくさんありますが、今回は「サーバントリーダーシップ論」というものを紹介したいと思います。あまり耳慣れない理論ですよね?いったいどんな理論なのでしょうか?ここでほんとにザックリと紹介したいと思います。
サーバントリーダーシップ論では、「リーダーを決めるのはフォロワーである」ということと「リーダーこそみんなに尽くす人(サーバント、日本語訳すると「召使い」)でなければならない」という考え方が根底にあります。
「リーダーを決めるのはフォロワーである」というのはなんとなく感覚でもわかりそうですよね。監督に「お前がキャプテン!」と言われたからキャプテンという「役職」につくことにはなりますが、実際にチームの他のメンバー(フォロワーといいます)に「あいつはこのチームのキャプテンとして認められる!」と思われないと誰もついてきてくれません。フォロワーに認められてこそキャプテンとしての力を発揮できるわけです。それが、「リーダーを決めるのはフォロワーである」ということですね。
「リーダーこそみんなに尽くす人でなければならない」というのは、何もフォロワーに媚をうってなんでも言うとおりにするということでは決してなく。あくまで自分のビジョンや使命感を明確に持ち、それを達成するために自ら進んでサーバント(召使い)に徹するということです。だからこそフォロワーが認めるわけですね。
フォロワーが認めるリーダーの行動
具体的にはどのようなことをするとフォロワーが認めてくれるのでしょうか?
こんな話が最近TVで紹介されていました。今話題の実業家前田裕二さんが小6のころ弾き語りをしていたのですが、お客さんにある曲をリクエストされたそうです。その曲を知らなかった前田少年は「一週間ください!練習してきます」といって一週間後に路上で約束通り練習してきたその歌を披露したらなんと10000円もの投げ銭をいただき、さらにそのお客さんはその後も足しげく通ってくれたそうです。この時に前田少年は「人は自分のために時間をかけて頑張ってくれたことに感動するんだなあ」と思ったそうです。
少し打算的で、いやらしい感じになるのですが、人は「この人、私(たち)のためにこんなにも時間を費やして努力してくれた!労力を割いてくれた!」と思った時に本当に感動するものです。そこに能力はありません。大事なことは「私(たち)のために」、「努力、時間、労力」を使うということです。
補欠キャプテンが持つべき心構え
これまでの話を踏まえて、補欠キャプテンが持つべき心構えというものを考えていきたいと思います。
所属するチームをどうしたいのかという明確な目標、ビジョンを持つ
これは、何もキャプテンに限ったことではありませんが、キャプテンこそ誰よりも明確に持つべきものではないでしょうか?レギュラーじゃないからとか試合に出ないからとかは関係ありません。まずは自分のチームの目指すべき姿を明確に持ちましょう。
明確な目標、ビジョンを持った上で、自分がチームのためにできること、自分のチーム内での使命を考える
補欠であるがゆえに自分にはチームのためにできることはない、と考えてしまうことがあるかもしれません。しかし、まったくもってそんなことはありません。試合の勝敗を決める要因はその瞬間に試合に出ている選手のみではないからです。日頃の練習、普段の選手間のコミュニケーション、練習環境など、試合に影響を及ぼす要因は多岐にわたります。試合に出なくてもチームのためにできることは山ほどあるのです。
チームのために心から行動する
最も大事なのは、上記の2つを踏まえて実際に行動をすることです。人の目に触れるのは行動です。自分の行動を見せることでしか、フォロワーに伝わることはありません。勇気をもって行動しましょう。
理解者がいるようにする
とはいえ、フォロワーに認めてもらえるにはとても時間がかかることもあるかもしれません。一人で考えすぎず、自分の近くに一人は、自分の立場や思いをわかってくれる人がいるとより良いと思います。
今回は以上になりますが、この話は、「補欠キャプテンはレギュラー入りをあきらめて裏方に徹しなさい!」と進めるものではありませんのであしからず・・・
<参考文献>
- 中村久人(2011)リーダーシップ発現のプロセスとサーバントリーダーシップ論の展開、 経営力創生研究、7:71-82