タスクフォーカスを学ぶ~漫画ハイキュー!!を心理学的に分析~

こんにちは。メンタルトレーニング指導士の河津です。今回もスポーツ漫画から学べるものを取り上げてみたいと思います。

下記火ノ丸相撲の回のテーマとも非常に近い部分があり、併せて読むと共通点が見いだせて非常に良いと思います。ぜひこちらの記事もご覧ください。

【インナーゲーム】火ノ丸相撲を心理学的に分析~プレーに集中するための方法~

 

「今ここ」に集中!タスクフォーカス

以前コーチングのお手本になると、こちらのコラムで、「ハイキュー」というバレーボール漫画を紹介しました。今回もその「ハイキュー」という漫画から試合への集中力を発揮するための注意のコントロール法を漫画の中で描写されているエピソードとともに紹介していきます。

以下、漫画のエピソード

春の高校バレー3日目・男子準々決勝
主人公のライバル校として描かれてきた梟谷学園は優勝候補の狢坂高校と対戦していました。梟谷のセッターである赤葦くんはとても冷静なセッターで、派手さはないが堅実、味方の力を引き出すことにたけていました。

その冷静な赤葦君を筆頭に、メンバーが一丸となって、調子に波のあるエースの木兎(ぼくと)君を盛り上げながら戦うということが多かったのですが、この試合ではその木兎君が絶好調で逆にチームを引っ張っていくという形になっていました。

ハイキュー 第332話 引用 ※背番号4番が木兎君

絶好調の木兎君とは反対に、赤葦君はこの試合いつもの冷静さが発揮できないでいました。さらに、一つ大きなミスを侵してしまうのです。

ハイキュー 第332話 引用

この瞬間彼の脳裏をよぎったのは、梟谷学園の絶対的エースでこの試合絶好調の木兎くんの背中でした。なぜこの時に自分のチームのエースの背中がよぎったのでしょう?

赤葦くんは反則を取られたプレーの直前にこんな言葉を自分の頭の中で言っています。

「乗り遅れるな」

つまり彼の頭の中はその瞬間いつも通りの思考にはなっていませんでした。「自分のはるか前をいっているエースに早く追いつかないと」、といういわば雑念がありました。

反則をとられ、瞬間木兎くんの背中がよぎった後、彼の頭の中は上記引用場面の通りとても混乱していました。ここで出てきた影山、宮侑というのは、他校のセッターで、彼らは日本のユース代表クラスの選手です。

赤葦君が頭の中で言っていた「こんな思考」というのは今の自分と影山や宮侑とを比べることだとおもいます。彼自身が言っている通り、そんな思考は全くの無意味です。

おそらく彼は、絶好調の木兎くんをみて自分もそこに行かなければと焦り、ミスをすることで自分の無力感を感じ、そこから、自分より実力のある影山や宮侑のようであればな・・・と嫉妬や憧れの感情を抱いてしまった、ということなのでしょう。無意味と分かっていても嫉妬や憧れ、無力感という感情はなかなかコントロールできるものではありません。

ここで監督がその様子を見かねて赤葦くんを一度ベンチに下げます。ベンチに下がった彼は監督にこんな言葉をかけられます。

 

ハイキュー 第333話 引用

ここで赤葦くんは一息ついて、この試合での自分の頭の中を振り返ります。この振り返りの過程は心理学的にみてもとても大事な時間でした。試合中に混乱していた自分を、冷静な自分が客観的に振り返るということ、実はこの作業をプレー中にできたなら下げられずに済んだかもしれません。しかしバレーなどの球技はそういった時間が取りづらいので一度下げてもらうというは一番の対処なのだと思います。

ハイキュー 第333話 引用

そして1セット目を落として終わり。2セット目に入るときに監督が赤葦くんに尋ねます。

ハイキュー 第333話 引用

この瞬間に赤葦くんが至った境地、それが「タスクフォーカス」の思考です。タスクフォーカスに至った赤葦君のその後のプレーがこちらです↓。

ハイキュー 第333話 引用

先でなく今に集中することの重要性

いかがでしたでしょうか?このタスクフォーカスという言葉はいろんな分野でいろいろな意味で使用されていますが、ここでの意味は思考の仕方、注意の向け方の種類として使われています。

タスクフォーカスと対になる言葉でゴールフォーカスという言葉があります。
ゴールフォーカスは将来的な目標に意識を向ける事、タスクフォーカスは目の前のすべき事に意識を向ける事です。

今回紹介したエピソードに当てはめて考えるとゴールフォーカスは「乗り遅れないように、木兎さんに早く追いつかなければ」、という、先のことに意識が行ってしまった状態。タスクフォーカスは「常に次、自分ができる事すべき事」という今に意識をむけている状態です。

ゴールフォーカスは、モチベーションを向上させるためには有効な思考法ですが、試合中にそれが過剰になるとプレッシャーになり、雑念の原因になる可能性があります。
試合をいつもの練習通りに!というのであればタスクフォーカスがより良い思考なのかもしれません。

最後に、一つ注意しておいてほしいのですが、人間の思考は結構自分勝手です。この記事を読んで、そうか!とおもってぶっつけで試合でやってもやっぱり雑念が勝手に出てきてしまう、ということがよくあります。思考の仕方もトレーニングだと思って普段の練習から行って、癖をつけるようにしていきましょう。そうすればきっと試合でも発揮できるようになります。

詳細なタスクフォーカスのトレーニング方法を知りたい!指導や自分自身のために実践したい!とお考えの方はこちら⇩をご覧ください。実際の実践例を基に3ステップで具体的な方法を紹介しています。※こちらの記事はかなり内容の濃いものですので有料となっております。

<参考文献>

  • 渡辺英児 著 「バレーボールメンタル強化メソッド」 実業之日本社
  • 古舘春一 作 「ハイキュー」第332~333話 集英社
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