チームづくりをするために最低限押さえておきたい4つのポイント!

こんにちは。河津です。

プロのスポーツチームから部活動のチームまで、規模の大きさはさまざまですがチームのリーダーになった人はどのようにチーム作りをしていけばよいかよくわからない人もいると思います。

今回はそんな皆さんのための強いチームにするための基礎的な情報を提供したいと思います。

「チーム」に必要な要素を知る

チームリーダーの皆さんに、一番はじめにしてもらいたいことは「チーム」とはなんなのかを知るということです。

良く「チーム作り」と言いますが、「何がチームを作るのか」というチームの要素を良く知っていないのでは作れるものも作れません。

以下でスポーツ心理学の分野でチームにはどのような特徴があるのか解説していきたいと思います。

「群衆」「集団」「チーム」の特徴

人の集まりを表す言葉に「群衆」「集団」「チーム」があります。
3つの内「群衆」はほか2つとは明確に違います。群衆は単なる2人以上の人の集まりと定義されています。

簡単な例を挙げると、渋谷スクランブル交差点の人混み、通勤ラッシュの電車の乗客などです。特に何も目的なく全く関係ない人たちが、ただ同じ場所にいるというだけです。

次に「集団」はどう定義づけられているのでしょうか、集団の特徴には以下のものがあります

  • 2人以上である
  • メンバーがお互いにコミュニケーションを取り合っている
  • 集団としての何らかの目的を持っている

集団の例としては、小・中・高校のクラスなどが挙げられます。

最後に「チーム」は集団がより高度に発達したものとして定義づけられます。その要素には以下のものがあります。

  • 2人以上である
  • メンバーがお互いにコミュニケーションを取り合っている

この2つは集団と共通です。そして、集団が発達したものとして表れるチームの要素は以下のものです。

  • 集団の時よりも明確で価値のある目標がある
  • 目標を達成するための役割を割り振られている
  • 外部との境界線がはっきりしている

学校のクラスが、クラス対抗の運動会や球技大会の時に、他のクラスを対戦相手として意識して、大会優勝のために出場する競技をメンバーの適性をみて割り振ったり、大会のための練習をしたりするような状態の時がイメージとしてわかりやすいと思います。

自分のチームを見たとき、

  • メンバーがお互いにコミュニケーションを取り合っている
  • 集団の時よりも明確で価値のある目標がある
  • 目標を達成するための役割を割り振られている
  • 外部との境界線がはっきりしている

これらの要素はチームに見られますか?

さらにそれがどの程度見られるかその強さにも注目してみてください。例えば、「メンバーがお互いにコミュニケーションを取り合っている」という要素がチームには見られますが、コミュニケーションといっても挨拶や雑談などのチームパフォーマンスにはあまり影響の出ない軽いものから、ミーティング時にチームの改善点などについて、自分の意見を遠慮なく議論するなどの重要なものまであります。

 

以上の情報を知っておくと自分のチームを評価するときに非常に有用です。

よりレベルの高い「チーム」の2つの特徴

最低限、上記の特徴が備わっているのがチームと呼べると思います。そしてチームの中でもよりレベルが高くなってくると・・・

  • チームのメンバーが、それぞれの役割、長所、短所やチームの戦術、作戦などを共通認
    識として共有できている
  • 「おれたちは強い!」というように自分たちのチームに関する自信が高い

という特徴もみられてきます。これらの特徴は心理的な特徴ですが、チームでの活動時に直接的にメンバーの行動に影響を与える可能性があります。

具体的な例をお話しします。

私が学生時代に福岡県のサッカー超強豪校の監督にインタビューを行ったときの話です。
私が監督にいいチームの特徴を聴いたときのことでした。

監督は・・・
「いいチームというのは互いのプレーの長所や短所を理解しあっています。例えば、ある選手の右足にボールがおさまったとしましょう、この選手は右足でボールを扱えば天下一品!とても良いプレーをする!と他の選手がわかっているのでその瞬間に一斉に攻撃的な動き出しができるんです!!

もしこの選手の左足にボールが収まってしまったら、この選手は左足だと途端にコントロールの精度が落ちるので、途端に今度は全員がフォローの動きに回ることができる!」

とおっしゃっていました。まさに選手間の共通理解の重要性を感じさせるお話でした。

これらの特徴をスポーツ心理学の分野では「チームメンタルモデル」と呼んでいます。

もう一つ具体的な話として、こんな話もされていました・・・
「長年監督をやっていると、試合前のウォーミングアップの時点で勝てるかどうかわかってしまうんです。あーこれは負けるな~と思ったときはたいてい負けちゃいます。」

僕がそれはなぜわかるんですか?と聴いたところ。

「相手の雰囲気にのまれてしまっているのが見えるからですね。相手が強いんじゃないかな?とか俺たち勝てるかな?とかそんな風に思ってしまっているのが見て取れるときは負けちゃいますね。」

と答えてくれました。

個人競技にも言えることですが自信があるのとないのとでは行動の選択やプレーの思い切りの良さが大きく変わってきます。もちろんチームにおいてもそれは変わりません。

自分たちが強い!と思っていた方が試合で思いっきりプレーできるし、逆に自分たちの強さに疑問があるようなら、プレーは小っちゃく守りに入るようなプレーになってしまいます。
監督の感じていたことはまさにこのことだったんですね。

このような、チームの自信のことを「集団効力感」といい、チームスポーツ研究ではとても重要視されている特徴です。

「チームメンタルモデル」、「集団効力感」、この2つの心理的な特徴も意識してチーム作りをすることができればより強いチームを目指せるのではないでしょうか?

本当にチームになれているか?まずは評価してみよう!

いかがでしたでしょうか?私が現場でいろいろなチームを見てきて、実ははじめの方で書いたチームの特徴ですら、あいまいになっているチームが多いような印象を持っています。

チームを強くしようと考えているリーダーの皆さん、まずは本当に自分のチームがチームとしての特徴を持っているのか評価してみましょう!

チームというものがどういうものかが分かったところで、次回、それではより高度なチームになっていくために具体的に何ができるか?ということを考えていきましょう!

<参考文献>

  • スポーツ社会心理学.北大路書房、2007年、ハガー・ハヅィザランティス 著
  • コンピテンシーとチーム・マネジメントの心理学.朝倉書店、2009年、山口裕幸 編
  • チームワークの心理学―より良い集団を目指して―.サイエンス社、2008年、山口裕幸 著
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