こんにちは、河津です。
今回は今までの自分を変えるために何か新しく始めたい!という皆様にぴったりの内容をお話しします。新年度が近づいてきている今にぴったりの内容ですね。
今年から始めてみよう練習ノート!!
ということで今回は、以前にも少し取り上げてその効果についてお話した練習ノートについてです。その時の記事はこちらをご覧ください。
どんな目的の時に、どんな内容を書き込めばよいのか、スポーツ心理学の観点から、練習ノートの書き込み方を自分なりに紹介していきたいと思います。
目的別練習ノートの書き方
スポーツ選手が自主的に練習ノートを書く時(監督・コーチに書けと言われて仕方なくなっている場合は除く)、狙える効果は以下のようなものがあると思います。
- 日々の練習に対する動機づけ(やる気)の維持。
- 運動スキルの効果的向上
- 試合での実力発揮の補助
- ストレス、感情のコントロール
それぞれの目的の時にどんな書き方があるかひとつずつ紹介します。
日々の練習に対する動機づけ(やる気)の維持
「練習に対するやる気が続かない!」、「つい自主練を怠けてしまう」などの悩みがある選手には、目標設定とともにおこなうと効果的です。
目標設定については、こちらの記事も合わせてご覧ください。
結果目標
「結果」の目標。「大会で優勝する」「プロ選手になる」「ライバルに勝つ」など、達成できたかどうかがはっきりわかるもの。
パフォーマンス目標
自分自身のパフォーマンスに焦点を当てた目標。「トラップができるようになる」「試合でのミスショットを5本以内に抑える」など、対戦相手などは関係なく、自分自身が基準となるもの。
練習目標・行動目標
「結果目標」や「パフォーマンス目標」を達成するために何をするのか、に焦点を当てた目標。「腹筋を100回する」「毎日素振りを500回する」など、「できるかできないか」ではなく「やるかやらないか」の行動に重点を置く。
目標が設定されたら、まず結果目標やパフォーマンス目標をノートの1ページ目や表紙などの目立つところに書き込みましょう。いつでも確認できる場所に書くことが重要です。
行動目標や練習目標は、その日の練習前にその日のページに書いておきましょう。練習後に目標の達成度をチェックします。行動目標、練習目標を週ごとに決めている場合は週ごとにチェックすれば問題ありません。
目標の振り返りは、達成度となぜ達成できたか?や、なぜ達成できなかったか?等の理由を考え、悪かった場合、次はどうすればよいかなどの改善点を考えて書きましょう。
その後、改善点などを考慮したうえで、次の目標を立てて書き込みます。時折、結果目標やパフォーマンス目標の振り返りなども織り交ぜると良いと思います。
以上のような内容を書き込むことは日々の自分のやることや達成度を具体的にイメージしやすくなるという効果がありますので、何もイメージがないよりも確実に実行につながっていきます。
やる気の維持のための練習ノートのポイント
- 結果目標やパフォーマンス目標は表紙や1ページ目など目立つところに書く
- 毎日・毎週の練習・行動目標はその日のページに書く
- 達成度と、「なぜ達成できたか?なぜ達成できなかったか?」などの理由と改善点を考える
- 改善点から次の練習・行動目標を考える
運動スキルの効果的向上
「今練習しているスキルを早く習得したい!」という選手は練習しているスキルに関することを練習ノートに記入していくと良いです。
この内容に関することとしては、「スポーツ上達のコツ」の記事を見ていただけるとよりわかりやすいと思います。
練習中や練習後に、自分の練習しているスキルの感覚、特に筋肉や重心の感覚、視界のイメージ等を言葉にして書き込みましょう!
書き込まれたイメージをスキルの実施前に想起させることで効果的なスキル練習ができるようになります。
また既に何度か練習をしている状態では、練習前にその日練習するスキルのイメージを書き込んでおき、イメージ想起をしやすいようにしておくのも効果的です。
運動スキルの効果的向上のための練習ノートのポイント
- 練習しているスキルの感覚を書き込む
- 練習前に読んでイメージしやすいようにする
試合での実力発揮の補助
「試合でいつも通りのプレーがしたい!」という選手は、いつもの練習の様子や試合で緊張した時などの様子を記入していくことをおすすめします。
いつも通りのプレーを実際の試合でも発揮したいというのであれば、普段の自分の状態をよく知っておく必要があります。
なので、まずは普段の自分の状態をノートに記入していきましょう。
練習時の体調、その日あった出来事、気分、生理的な指標として体温や体重、心拍数、食事の時間や就寝時間、起床時間などの生活習慣に関することも書いておくと手がかりになる可能性があります。
それらを練習がある日は毎日書いておくと、どんな時に調子がいいのか悪いのかが必ずわかるようになってくるので、試合でベストの状態に持っていくためのコンディショニングに役立ちます。
また、それでも試合になるといつもと違った緊張状態を体験することがあると思いますので、その時の状態を試合後に記入しておくと次の試合の時のコンディショニングに役立ちます。
詳細な内容は、その時の身体の状態(足が震えた、肩ががちがち、いつもより疲れた等)、心の状態(気分、感情等)、頭の中の状態(何を考えていたか?)などを分けて書いておくと良いです。
試合で実力を発揮するための練習ノートのポイント
- 普段の自分の状態を記録(体温や体重、食事、気持ちなど)
- どんなときにコンディションがいいのか条件を考える
- 試合のときにベストの状態を維持できるようにする
ストレス、感情のコントロール
「日々の競技活動に関するストレスをなんとかしたい」という選手は、練習や日常生活で感じた自分の感情やストレスの原因、自分のものの考え方や価値観などを日記のように書いていくことが良いでしょう。
自分がなぜ、あの出来事でああ思ったのか?なぜあの人に対してあんな風に接してしまったのか?
このような自分の心や感情の動き方を普段から文字に書いて残すようにすると、自分の感情への気づきにつながります。
そうなれば、同じ状況を経験した場合、いち早くその瞬間に自分の感情に気づけるようになります。それがその感情をコントロールする第一歩になるのです。
また、日々の出来事やもやもやした感情を日記に書くことはそれ自体にストレス解消効果があります。それは、「カタルシス効果」と呼ばれています。
カタルシス効果とは、心の中にある不安やイライラ、苦悩、怒りなどの感情を言葉にして表現すると、安堵感や心の安定が得られるという効果のことで、「心の浄化作用」とも呼ばれています。日記に書くということは、文字(言葉)にして表現することと同じことなので、それによって少し気分が楽になるということです。
ストレス・感情をコントロールするためのノートのポイント
- 自分がストレスを感じたとき、感情が動いたときの原因を書き込む
- 書き込んで感情の動きを整理し、感情のコントロール方法を身につける
とにかくまずは継続から!!
いかがでしたでしょうか?選手によって抱える悩みはそれぞれあるでしょうが一人でもこのようにできることはたくさんあります。
しかしながら今回紹介した練習ノートの書き方は、すべて継続しなければ意味がないことばかりです。つまりは、結局自分次第。まずはとにかく継続してみましょう。
<参考文献>
- スポーツメンタルトレーニング教本、大修館書店、2002年、日本スポーツ心理学会 編
- ポジティブマインド スポーツと健康、積極的な生き方の心理学、新曜社、2010年、海保博之 監、 中込四郎・石崎一記・外山美樹 著