こんにちは、スポーツメンタルトレーニング指導士の河津です。
今回のテーマは「サッカーのPKを成功させるために、キッカーがどのようにメンタルを鍛えていけばよいのかを真剣に考えていく!」というものです。
私がこれまで勉強してきたスポーツ心理学の知識や、指導実践してきた経験、そして自分自身が小学校からやってきたサッカーの経験と、割と蹴らされていたPK戦の経験から真剣に考えていきたいと思います。
多少、普段の研究者的な目線から少し外れて、かなり自論も交えますので効果を保証するものではありませんが、何かしらのお役には立つと思います。
まずはPKの本質を考えてみよう
どのような鍛え方をしていけばいいかは、PKというものの本質をよく考えていけばおのずと見えてくるものだと思います。研究でいうところの定義づけに似た段階ですね。
PKとはどんなものなのか?説明すると、キーパーとキッカーの1対1の勝負で、キッカーはゴールから11m離れたところ、ゴールの正面にボールを置き、それを蹴り、ゴールに入れればよい、キーパーはそれを止めれば良い、というシンプルな勝負。
これだけ見ると、キッカーは普段練習しているシュートやパスなどに使うキックを、ボールが動いた状態でなく止まった状態で行うので、キックのスキル自体はいつもよりも簡単に発揮できるはずです。なんだ簡単じゃないか!ということになります。
しかし、残念ながらそう簡単に決まらないのがPK。上記の説明は単にルール上のもの、PKの本質を示したものではありません。
PKはサッカーのなかでも異常な状況
PKの本質はその状況の異常さにあります。PKの状況の何が異常なのか、それはズバリ本来オープンスキルを求められるサッカー競技の中で唯一クローズドスキルが求められる状況であるということ。
ちなみに、オープンスキルというのは簡単に言うと環境の変化に対応してプレーするスキルのことです。サッカーでは、試合中常に選手は動いていてそれらに反応したり予測したりしてボールを蹴りますよね。
状況判断能力の高さが大事な要因になってきます。反対にクローズドスキルというのは、比較的安定している環境の中でいつも通りの動きをいつも通り発揮するスキルのことです。競技例を挙げると、弓道やアーチェリーなどのターゲット競技や陸上などになります。
話をPKに戻しましょう、PKの状況では、一見キッカー有利な見た目と、「外したらキッカー一人の責任(に見える)」というように責任の所在が明確なこと、蹴るまでの時間が結構あることで、キッカーにかかる心理的な負担が何倍にも膨れ上がるということが、PKの異常さの一つです。
さらに、試合中は応援や、選手や監督の指示の声によって騒がしいのに、急にとても静かになることなども異常な状況の一つと言えるでしょう。
本質から見えてくる鍛えるべきポイント
以上、サッカーの競技場面の中で、PKという状況の異常さをお話ししましたが、これらの本質を踏まえるとやるべきことが見えてくると思います。ひとつずつ挙げていきましょう。
そもそもPK自体の練習をするべきなのでは
これはだいぶそもそもの話なのですが、先ほども述べたようにサッカーの競技場面の中でもPKは異常な状況であると考えると普段の練習メニューだけやっていてもPKの成功率が上がることは考えにくいです。
PKを蹴る場面になってあたふたして失敗してしまう人は、この重要さを認識できていないのではないでしょうか。普段練習していないことをいきなりやれと言われてもできるわけがないですよね。PKにも結局同じことが言えます。
まずはPKの練習をすることをお勧めします。練習後に遊びでやる人は多いと思いますが、あくまで本気で成功率を上げるつもりで練習してみてください。キックの感覚や自分がどの辺に意識を向けるとうまく蹴れるのかなど、普通の技術練習のつもりで取り組みましょう。
ちなみに、PKの成功率80%以上といわれている元日本代表の遠藤保仁選手は学生時代からPKの蹴り方を自分で考え、プロに入ってから練習し、スキルを磨いたそうです。
余計なことを考えないように「セルフトーク」「ルーティーン」などを作っておく
サッカーは基本的に一人のプレーヤーがボールを長時間保持してゆっくりするような余裕はありません、常に動きながら考えながら短い時間でボールをコントロールしていきます。
それと比べPKの状況ではキッカーに与えられる時間は長いです。PK戦にもなると自分の順番が来てからボールに向かい、審判の合図があってから蹴るまでだいぶ時間がありますよね、そのせいで逆に色々考えてしまうというのがデメリットになってしまうパターンが多いと思います。
そこで有効なのが「ルーティーン」や「セルフトーク」です。このふたつについての詳細は以下の記事で
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PKのスキル練習と一緒に行えばとても効果が高いと思います。
チームとしての取り組みも重要
責任の所在が明確なのも、PKの大きなポイントですね。外した時のキッカーの心理的負担はとても大きくなります。これに対してはチームメンバーとの関係性が大事になってくると思います。
普段からチームでのコミュニケーションを十分にとっておき、「コイツが外すなら仕方ない」という信頼関係を築いておくことが必要になります。PKについても話しておくとなお良いでしょう。
信頼関係を築いていくことで、PKでキッカーになった選手に対する重圧も多少は軽くなるはずです。
いかがでしたでしょうか?今回はかなり自論が多いので研究のエビデンスがしっかりあるわけではないですが、納得された方は是非お試しください。