チームの成績向上のために「副」キャプテンに求められる役割!!

こんにちは。メンタルトレーニング指導士の河津です。今回は副キャプテンについて考察しています。

スポーツにおいてもビジネスにおいてもチームの素晴らしい業績は一人の偉大なリーダーの功績によるものであるというようなお話はよく聞くと思います。

しかしながら、そういった話は話題にしやすいために多少の脚色が入っていることもあり、実はそういった一人の目立ったリーダーの陰で、それを取り巻くフォロワーの存在がとても重要になってくることはあまり知られていないかもしれません。

チームの成果はリーダー以外の影響が8~9割

ある調査では、組織が出す結果の1~2割がリーダーの影響、残りの8~9割はフォロワーの影響だという結果が出ています。

リーダーがどれだけ素晴らしい指針を打ち出してもそれにみんながついてこなければ何の意味も成しません。そんな時、リーダーの指針を一番に理解し、それをチーム全体に浸透させる補佐的な立場の人間がいたらどうでしょうか?ここに副キャプテンの存在意義がありそうですね。

それではチームの副キャプテンには実際にどんなことが求められるでしょうか?考えていきましょう。

チームに新しい文化などをもたらす実行部隊としての役割

2015年に大活躍したラグビー日本代表の心理サポートを行った荒木先生は、リーダシップグループというキャプテンを中心として選出される4~8名の選手に対する働きかけをしていました。

実際にこのグループがチームに対していろいろと働きかけ、日本代表チームの雰囲気を大きく変えることになりました。荒木先生はその働きかけの仕方や内容を考えるサポートをしていました。

キャプテンが一人でどれだけ頑張ってもチームのメンバー全員に影響を与えることは難しいことですが、ラグビー日本代表のリーダーシップグループのように、団結した複数のメンバーで働きかけることによりその影響力はとても強力なものになります。副キャプテンにはキャプテンと団結しチームの方針をほかのメンバーに浸透させるという役割があるのではないでしょうか?

他のチームのメンバーを同調させる役割

これは社会心理学の「同調」研究からも明らかです。集団の中にいる人間には自分以外の集団メンバーから同調圧力というものがかかります。

とある実験で、普通に答えれば9割以上正解するような3択問題を、集団の中にいる状況で答えてもらうというものがありました。そこでは被験者以外の実験参加者は実はサクラで、本当の被験者が問題に答える前にサクラの参加者が全員同じ間違った答えを言うという操作がなされました。(例えばA、B、Cの3択問題で、正解はCにもかかわらず、サクラは全員Bの選択肢を選ぶというものです。もちろん本当の被験者が答えるときには正解は発表されていない状況です。)

結果は、8割以上の被験者が一度は間違えました、これは集団の答えが間違えているにもかかわらず被験者がサクラに同調してしまったということになります。

ちなみにサクラの人数は1~12人まで設定されていましたが、同調圧力の効果は3人でほぼ最大になり、あとはいくら増やしてもほとんど変わりませんでした。つまり、リーダーシップグループは最低でも3人は欲しいということになります。

キャプテンと話し合ってチームの方針を明確にする役割

同調の圧力は多数派から少数派に対してだけでなく、少数派から多数派へも影響を及ぼすことが分かっています。数が多い少ないにかかわらず、その集団の中でどれだけ意見が一致しているかという斉一性という性質がその集団が持つ影響力に関係します。

ラグビー日本代表の事例では、リーダーシップグループ以外のメンバーのほうが人数としては多いものでした。しかし、多数派ではあっても何か明確な統一された意識があったわけではありません。対してリーダーシップグループはミーティングによる目的の統一、具体的な行動の確認などを行っていたので、斉一性は非常に高いものでした。

加えて、チームの中でリーダーシップグループとして選出されたという公式的な立場であるという認識もありましたので、その他のメンバーをこちら側に巻き込むには十分な条件がそろっていたといえるでしょう。

このことから、副キャプテンの役割の一つとして、監督・コーチの方針やキャプテンの意見などをしっかり聞いてとことん話し合い、チームが向かうべき方向をより明確なものにするということも副キャプテンの役割として重要であるといえるでしょう。

副キャプテンに求められる役割まとめ

これまでの話をまとめますと、チームの副キャプテンに求められる役割としては・・・

  1. チームの方針などをチーム全体に浸透させ、影響を及ぼすこと
  2. 監督・コーチ、キャプテンなどと話し合い、チームの方針を明確なものにすること

の二つが考えられます。

これから新チームの副キャプテンになる方はこのあたりを意識しておくとチームがうまく回るかもしれませんね!

※今回考えてきた役割は、チームの成績向上という目的のもとで考えたものです。チーム内の人間関係の維持という目的で考えると、ほかにも副キャプテンの役割になりそうなものはあると思います。今回挙げた役割がすべてだということではありませんのでご注意ください。

<参考文献>

  • 荒木香織(2016)ラグビー日本代表を変えた「心の鍛え方」、講談社+α新書
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