こんにちは。河津です。下記記事にて、チームとはいったいどういうものなのか?強いチームに見られる特徴はなんなのか?をスポーツ心理学における定義を用いて解説していきました。
今回は実際に、それらの特徴をチームに持たせるためにリーダーやメンバーに何ができるか?その具体的方法を紹介していきます。
まずは土台作り!コミュニケーションの促進方法を紹介
チームの特徴として、「価値のある目標の共有」、「目標達成のための役割分担」があると前回お話ししました。
さらに、より強いチームは目標や役割だけでなく、「チームの戦術やメンバーの長所、短所」までも共通認識として持っていることを事例から紹介しましたね。
これらの特徴をチームに持たせるためにミーティングを頻繁に行っているチームは多いと思います。ですが、それらのチームを見てみると、リーダーからの一方通行、ミーティングというより、「リーダーの意思表明」だけで終わっていることがほとんどです。
メンバーが積極的に意見を言わないからまずは自分が意思表明するしかしょうがない!と思う方もいるかもしれませんが、本当にそうでしょうか?
そういった人たちはメンバーが積極的に意見を言えるような雰囲気づくりをしていますか?
ミーティングを何回もするよりも、まずは、チームのメンバーが自由に発言できる、楽にコミュニケーションをとれる雰囲気をつくることが重要です。それがなければいくらミーティングをしてもあまり効果はありません。
それでは、明日から、リーダー一人ででもできる具体的な行動をご紹介していきましょう。
コミュニケーションの基本!まずはあいさつをしよう!!
小学校の時に「あいさつ運動週間」なんてものがありました。積極的にあいさつをしていこうという運動ですね。子供の頃からあいさつは大事だよと教わってきていますがはたしてそれが大人になって体現出来ているでしょうか?
この「あいさつ」は実はとても大事なスキルです。以前元サッカー日本代表の岡田監督について記事を書きましたが(記事リンク)彼もあいさつの重要性を話していますね。
岡田監督の記事では「単純接触仮説」についてお話をしましたが、実はもうひとつ、面白い人間心理があります。それは「返報性」というものです。
これは、人から何か施しを受けたらお返しをしなければいけないというような感情を抱くという原理です。
あいさつを施しというかどうかはさておき、人からにこやかにあいさつをされたらこっちもお返しをしないとなんだか気持ちが悪いですよね?
まずは自分からメンバーにあいさつをしていくようにしてみましょう。なにも立ち止まっていろいろ話さなければいけないわけではありません。シンプルに一言「おはよう」「こんにちは」「さようなら」でいいのです。
これを続けていくことで、きっとメンバーたちも自分からあなたへあいさつをするようになるでしょう。それまでは辛抱強く続けてみてください。
質問をしたら待つ!聴く姿勢を身に着けよう!!
あいさつ運動と同時に、メンバーとのコミュニケーションの取り方も少し変えていきましょう。
ずばり「聴く時間」を増やすということです。コミュニケーションスキルというと、自分の意見をわかりやすく述べるスキルすなわち「話すスキル」と考えてしまう人がいまだに多いですが、実は最も大事なことは「聴くスキル」です。
これが意外にできていないリーダーがとても多いとおもいます。もちろん、熱心な方はコミュニケーションの勉強もしていると思いますので「話を聴くことが大事なんですよ!!」なんて言葉は正直聞き飽きているでしょう。
しかしそれでもあえてここで言っているわけは、「知っているけどできていない」人が圧倒的に多いと私が感じているからです。
話を聴くということは「質問をする」ということではありません。良くあるのは、「これについてどう思う?」「君の意見を聴かせてくれ!」というセリフを言っているパターン。
これを言っているから私は話を聴いているほうだ!と思っているなら、言った後の自分の態度を振り返ってみてください。
聴いてはみたものの、相手が黙ってしまったので、「この意味わかるかい?」「具体的に言うとこういうことを聴いているんだよ!」と間に耐えられなくて結局こっちからいろいろ言ってしまっていませんか?
もしくは黙って待つことで相手に気まずい印象を与えていませんか?そして結局は相手に本音ではなく当たり障りのないことを言わせていませんか?
私が考えるに、聴くという行為は上記のセリフを言えばいいというものではありません、セリフはあくまで一つのきっかけ、そのあと「相手の本音が出るまでとことん待ってあげること、さらに相手がくれた答えを全力で受け止めること」が大事なのです。
もし沈黙が長引きそうであれば「遠慮なく時間を使って考えて。それまで待ってるから」とにこやかに言ってあげましょう。
「相手の答えを全力で受け止める」というのはわかりやすく言うと、相手がどんな気持ちでそれを言ったのか?その感情に共感してあげるということです。
そこに自分の意見はいりません。あくまで共感する。まずはそれが第一です。もし意見を求められたのなら、その時自分の意見を言えばいいのです。
もちろんそのためには、時間に余裕を持たせることが大事ですよ。この話をすると良く言われるのが「そんな時間の余裕はない」という意見。それなら別にそんな時に聴く必要はありません。時間に余裕がある時に聴けばいいのです。
いやいや、たいてい意見を求めたいときがその余裕がない時なんですよ。なんて思った方は、それこそ「聴く」ことの本質が見えていない可能性があります。
話を「聴く」のは何のためだと思いますか?相手の本音を引き出すため?
確かにそれも大事な目的の一つです。しかしそれ以上に大事な目的が、「私はあなたの話、あなたの本音をしっかりと聴いていますよ。あなたの味方なんですよ。」というメッセージを相手に伝え、「ああ、この人は自分の話をちゃんと聴いてくれる人なんだな~」と相手と信頼関係を築くことです。
このような信頼関係を築くことができれば、たとえ時間がない時でも、限られた時間の中で遠慮することなく一所懸命に考えて意見を言ってくれるでしょう。それでも時間が足りずに意見を言えなかったとしても全く問題ないのではないでしょうか?
きっとその後、相手から話をしてきてくれるのではないでしょうか?
いかがでしょうか?ちょっと長くなりそうだったので、今回はリーダー一人でできる、基礎的なことのみの紹介としておきます。
次回は、さらにスムーズに相手から意見を引き出す方法や、チーム全体でできそうな具体的な行動を考えていきましょう。
<参考文献>
- 図解 コーチングスキル.ディスカヴァー・トゥエンティワン、2017年、鈴木義幸 著